背中の痛みについて
背中の痛みは脊椎、背中の筋肉、胸腹部各臓器、肋骨などが原因で背中に痛みを感じる状態です。背中の痛みの原因を自分で特定するのは難しいので、精密検査の必要な場合があります。
胸腹部各臓器の疾患の影響で、背中の痛みは出る場合があります、また逆に、背中の痛みが、各臓器の働きに影響することもあります。
背中が痛む原因には次のような場合が考えられます。
1.変形性脊椎症
変形性脊椎症は脊椎に老化性変化で椎間板が狭くなり、椎体が反応性に骨棘形成(椎体の角がとがってくること)をきたしてきます。ひどいときは、隣接する椎体が骨棘によって架橋されてしまいます。背骨や脊柱は、体の中でも特に大切なものです。多くの重要な神経が脊柱を通っていて、神経圧迫によって、背中の痛みとして表れてきます。
背骨が老化すると、骨棘などが出てかたちが変わってくるので、変形性脊椎症といい、これが頸椎に起これば変形性頸椎症といいます。変形性頸椎症は、通常中年や高齢者に発症します。加齢に伴い脊椎骨が過剰成長して、首の脊柱管が狭まります。その結果、脊髄や脊髄神経根(脊髄と隣り合う脊髄神経の一部が圧迫され機能不全が起こります。
変形性頸椎症を基盤として、脊髄ないし頸神経根の圧迫症状を呈すると、脊髄症とか神経根症と呼ばれます。 頸髄症では、くび、肩の痛み、手足のしびれとまひ、手のこまかい運動ができず、歩行障害や排尿障害などの症状を伴います。
神経根症では、頸髄から出る末梢神経が圧迫されて上肢へ放散する痛みがあり、上肢の腱反射は低下ないし消失し、神経支配領域の知覚も低下します。
脊髄症や神経根症の診断にはMRIが重要で、頸髄の圧迫や頸神経根の圧迫像がみられます。